灘卒医師が書く、医師・医療が誤解されていること5選【あるある】

こんにちは、画像診断医かずです。

今回は医師として働いているいる中で勘違いされがちなこと(あるある)を書いていこうと思います。

世間一般の「お医者さん」に対するイメージって、ドラマの影響なのか分かりませんが、結構な確率で現実とズレていることが多いんですよね。

かず
かず

最近は医師系Youtuberも増えたので解消されつつはありますが、まだまだ認識が違うなぁと思うことが多いです。

そこで、現役医師の視点から「世間一般の人が実はめちゃくちゃ誤解していること5選」を、あるある形式でぶっちゃけてみようと思います。

医師のリアルな世界をぜひ覗いてみてください。

1. 医師の給料は高い

時間換算ではそれほど良くない!

「医者ってめちゃくちゃ稼いでるんでしょ?高級車乗り回してタワマン住んでるんでしょう?」

……これ、本当によく言われますし、親戚の集まりなんかでも格好のネタになります。

実際に、「トータルの年収(額面)」で見れば、確かに世間の平均よりは高いです。それは否定しませんし、ありがたいことだとも思っています。

ただ、それは世間が思っている以上に医者が長時間労働しているからなんですよね。

そして、その長時間労働を踏まえると時間当たりの給料は驚くほど安いんです。

かず
かず

踏み込んだ話をすれば、オンコール(家で呼び出しを待機)であったり、当直であったり、拘束時間であるにもかかわらず給料が出ないみたいなことがよくあります。
あとは自己研鑽とかいう謎のシステムですね。

特に象徴的なのが大学病院です。残業をどれだけしても、手取りで20万〜30万円程度なんてザラにあります。

当直(夜勤)をして、翌日もそのまま通常勤務して、文字通り命を削って働いているのに、です。

コンプライアンスが叫ばれる令和の時代ですが、大学病院の給与体系はまだまだ前時代的なところが残っています。

かず
かず

これ、リアルな話ですし、色々な力関係が働いているので全然メスが入れられてないんですよね。

じゃあ、なぜ医者が生活できているのかというと、「バイト(外勤)」で食いつないでいるからです。

大学病院の給料だけでは家庭を支えられないので、多くの医師は週に1〜2日、地域の市中病院やクリニックへ「バイト」に行きます。

このバイトの時給はかなり高く設定されており、「本業の大学病院では激安で酷使され、その穴埋めをバイトの高給で補填して、トータルでようやく『給料が高い』という状態を作っている」のが、我々医師の給与事情のリアルなんです。

かず
かず

バイトが凄くおいしいと聞くなんて言われますが、通常勤務と別にこなしているので、おいしくないとやってられないんですよね。

本当にこのシステム何とかなりませんかね。

2. 研修医は医師ではない

研修医は医師免許を持っている!

こちらは割と常識だと思うのですが、未だに勘違いされる方もいらっしゃるようで

実際に僕もたまに勘違いされていたので書きますが、研修医も医師免許を持って働いています

確かに、昔の日本の医療界には、医師免許がない状態(あるいはインターン制度のような形)で研修を始めていた時代もあったようなんです。

かず
かず

国試に落ちている人もとりあえず働いていたなんて話も、うろ覚えですが聞いたことがある気がします。

ただ、今の時代にそんなことは絶対に許されません。彼らは法的に、自分の名前で処方箋を出し、医療行為を行う権限を持った医師なのです。

しかも、臨床の経験値という意味ではベテランの先生の方が上かもしれませんが、知識量は侮れなかったりします。

というのも、今の勉強効率は昔に比べて飛躍的に上昇しており、それに伴って必要な知識量もどんどん増えているのです。

かず
かず

医療そのものが日々進化しているので、知識量のインフレが止まらず、参考書が昔の5倍の分厚さになっているという話もあります。

優秀な研修医は上級医から意見を求められることもしばしばありますし、研修医を軽く扱えば自分に返ってくるかもしれません。

研修医のこと、大事にしてあげてください。

3. 断言してくれる医師は名医

「多分」とか「そう思うけど」とか言う医者の方が信用できる(かもしれない)

医療系のドラマなどを見ていると、 「この病気はこれで100%治ります!」 「間違いなく〇〇の病気です、私に任せなさい!」 と、力強く断言するドクターがよく登場しますよね。

あれを見て、「やっぱり名医は自信に満ち溢れていて、ハッキリ断言してくれるんだな」と思う方も多いのではないでしょうか。

かず
かず

反対に「私の主治医はいつもはっきりと教えてくれない・・・」とか不安に思われる方もいるかもしれませんね。

ですが、私の個人的な意見を言わせてもらうと、「本当に優秀な医師ほど、軽々しく断言をしない傾向がある」と思っています。

なぜなら、私たちは「医学において100%はあり得ない」という事実を、嫌というほど熟知しているからです。

例えば、咳・鼻水・のどの痛みなどがそろっていて、風邪っぽいなと思ったとしても、背後に稀な疾患が隠れていることもあります。

かず
かず

人間の体は機械ではないので、教科書に書いてある症状が、目の前の患者さん一人一人にそっくりそのまま当てはまるとは限らないのです。

また、同じ疾患に同じ薬を投与しても、ある人には劇的に効き、ある人には全く効かず、別の人には重大な副作用が出る、なんてこともよくあります。

そして、万が一にも「例外」が生じた場合、この医療の世界ではその「例外」が患者さんの命に関わるような、取り返しのつかない重大な結果に直結することもあります。

だからこそ、優秀な医師ほど、「~という可能性も否定しきれません」とか、「多分~だと思います」とか少し歯切れの悪い、慎重な言い方をしがちになると思うのです。

かず
かず

時には「この先生はいつもはっきりしない」なんて思うかもしれませんが、色々考えてくれてるんだなと思ってあげてください。

4. 治療の失敗=医療ミス

ミスが無くても治療は失敗する事もある!

これは非常に重要な問題だと思っています。

最近ニュースなどでよく「医療ミス」という言葉を目にしますが、そのコメント欄を見ると、決まって「あの病院で私もミスがあって治療が上手くいかなかった」というコメントがあります。

そういうコメントに皆センシティブになりがちですが、それは本当にミスなのか、それともミスなく終わったものの上手く行かなかったのか、よく考えてみる必要があると思っています。

例えば、採血や点滴の注射で一発で針が入らず、何回もやり直されることありますよね。

かず
かず

痛いのに何回も刺され、「あの看護師(医者)は下手くそだ!ミスをした!」と怒りたくなる気持ちにもなるでしょう。

でも、声を大にして言いたいのは、「こちらもわざと外しているわけではないし、当然ながらミスでもない。不可抗力な場合がほとんどである」ということです。

というのも、人間の血管は外から見えていても、いざ針を刺してみると想像以上に壁が硬かったり、血管内の「弁」にぶつかってしまったり、あるいは刺した瞬間に血管が逃げて逃げてピシャッと潰れてしまったりすることがあります。

一見「簡単そうに見える血管」でも、やってみて初めて「うわ、この血管めちゃくちゃ難しいな……」と判明することはプロでもよくあるのです。

これは技術の優劣というより、解剖学的な個体差、つまり「やってみなければ分からない領域」なのです。

かず
かず

僕自身も注射で絡まれたことがあります。ちなみに、そういう人はコメントに書かれ、要注意人物として扱われることもあるので、医療機関で不当な理由で怒るのはやめましょう。

では、本当の「医療ミス(医療事故)」とは何か。 それは、確認を怠って違う患者に手術をしてしまった、投与量を一桁間違えて劇薬を注射してしまった、というような「注意するべきだったのにそれを怠り生じた過失」です。

こうした本当の医療ミスが起きた場合、下手な対応をすれば当然ながら裁判沙汰になり、医師としてのキャリアも終わります。

そのため、医療側もミスが発覚すれば丁重に謝罪し、誠実に対応する場合がほとんどです。

「治療が期待通りにいかなかったこと(合併症や不可抗力)」と「医療ミス」は、全くの別物であるということを、どうかご理解いただけるとありがたいです。

かず
かず

「注意していても起こってしまうこと」と「注意せずに生じたこと」は全く別物ということですね。

5. 救急外来は昼間に病院に行く時間がない人が行くところ

救急外来は緊急性の高い状態で来るところ!

最後は、救急医療の現場を逼迫させている、最大にして最悪の誤解です。

「平日は仕事が忙しくて病院に行けないから、土日の救急外来で診てもらおう」 「夜間の方が空いてそうだし、昼間は用事があるから夜に救急車で行こう」

こう考えている方は、今すぐその認識を改めましょう。

救急外来は、「日中に病院に来られない人が行く場所」ではなく、「今すぐ命に関わるような、急を要する疾患を診る場所」です。

かず
かず

あり得ないと思われる人もいるかもしれませんが、本当に「救急は紹介料がいらないから」とか「昼間は忙しくて」とかそういう理由で来る人がいるんです。

一人だけならいいじゃんとか思われるかもしれませんが、救急は基本的に人手が足りていないので、そんな一人のために他の緊急の方の治療の遅れが生じかねませんし

さらに言えば、患者さん側にもデメリットがあります。

というのも、救急外来は「じっくり丁寧に検査をして、確定診断を下す場所」ではないため、誤診になる可能性もあるのです。

先ほども書いたように救急は基本的に人手不足なので、専門科のDrがいない場合も多く

さらに救急の目的は「今すぐ死ぬ病気かどうかを見極め、応急処置をすること」なので、血液検査の項目や出せる薬が限られていたりもします。

かず
かず

放射線科のDrが救急を担当している場合さえあります。普段ほとんど診察をしないのに。そう考えると恐ろしいですね。

制約が非常に多い中で、暫定的な処置しかできないのが救急外来です。

日中の待ち時間が長かったり、そのくせ診察時間は短かったりと色々問題がある医療体制ですが、だからといって救急に来るのはやめましょう。

まとめ

あまり表に出ない世界なので勘違いが多い!

いかがでしょうか。

医療の内部の話はドラマなどでしか表に出ないので、今書いたほかにも勘違いされていることは多々あります。

正確な知識を持っていただければ、我々も仕事をする上で非常に助かるので、この他にも疑問に感じたことがあればぜひご自身でも調べてみてください。

かず
かず

もちろん、僕にコメントを下さっても構いません。まあ、医療とかかわることがないのが一番なんですけどね。

また、この記事をいいなと思ってくださった方、SNSでのシェアを頂けると大変喜びます。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。それではまた次回。

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